春になったのせいか、今日は無性に、溜め込んだラコタの資料が気になって、その整理を始めることにしました。アルバムや本の整理を始めると、ついページをめくって見入ってしまっていっこうに片付かないことがありますが、今回の資料整理もそうでした。
あぁ、こんなのもあった、この人もいた、これは何だっけ、と時間ばかりくって結局ひとつもはかどらず、若干順番が入れ替わった程度で以前のまま脈略なく置かれる始末です。
で、その中で懐かしいものを見つけました。
2000年の、ローズバッド(スー) トライブの部族学習教室のぬり絵カレンダーです。
当時まだ小学生だったシャロレーンが通っていた学習教室で、ラコタ語の学習もしていると言っていました。
2000年、私が彼女の家に遊びに行ったその日は一日中馬の放牧に付いてまわって、子供らしい遊びにつきあったりして過ごしました。帰り際に、彼女が小走りに子供部屋に駆け込んだかと思うと、このカレンダーや、ラコタ語の練習帳やらを持ってきて私にくれようとしました。まだ、新品の練習帳はほとんど宿題の後が見られなかったし、カレンダーは余分にあるというので、このぬり絵カレンダーだけをもらって帰りました。
なんであの時、もっとしげしげと見なかったのでしょう。
今ページをめくってみると楽しい楽しい。
各月ごとに、イラストとラコタのストーリー、たとえば一月は、梟(ふくろう)がラコタの人に敵がきたことを知らせる鳥であったことの由来、 2月は何故デビルスタワーが出来上がったか。
3月は「誰かを馬鹿にしたイクトミに何がおきたか」
こんなふうに12月までおとぎ話がイラストと一緒に書かれています。
それから、月の名前はラコタ語で書かれ、英語の訳が付いています。
小学生が自分たちの文化と失われていく言葉を学ぶ工夫でいっぱいです。
1月 Wiotehka Wi ( Hard Moon)
2月 Cannaposa Wi ( Moon of the popping trees)
3月 Ista Wicayazan Wi (Snow blindness Mouth)
4月 Wihakakta Cepapi Wi (Younger wife fattens Moon)
5月 Wojupi Wi (Planting Moon)
6月 Wipsz Kan Sapa Wi (June Berry Get Black Moon)
7月 Canpa Sapa Wi (Choke Cherries Get Black Moon)
8月 Wasuton Wi (Ripening Moon)
9月 Canwape Gi Wi (Leaves Turn Brown Moon)
10月 Canwape Kasna Wi (Moon of Falling Leaves)
11月 Waniyetu Wi (Winter Moon)
12月 Teca Caspun Wi (Moon When Deer Shed Their Horns)
(ラコタの中でも、部族によってまた違った月の呼び名があると思うので、これはあくまでも、その中のひとつです。メディスンホイールにも、色や配列の違いが部族で違うことがあるようにです。)
それにしても、何て美しい呼称でしょうか。
あるラコタの友人に「我々のラコタの名前には、一つ一つ意味があるんだ。君の名前の意味は何なんだ?」と尋ねられた時、私は、日本語の一字一字に意味のあることを改めて思い、日本語と自分の名前が誇らしいと思ったものでした。
ラコタの若者にとって、試練の多いリザベーションの生活に疲れる日々があっても、この土地を出て行っても、この美しい言葉を誇りと思える気持ちが、彼らを勇気付ける時がきっとあるにちがいないと思います。
さて、このカレンダーの毎月、どのページにも同じ文章が書いてあります。
What did Iktomi cause you to do today?
Don't let Iktomi lead you astray!
「今日、イクトミはあなたになにをさせようとした?
イクトミに惑わされるな」
(イクトミ(蜘蛛)は、トリックスターで、自然界の秩序を破り、物語を引っかき回すいたずら者とされています)
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