風の強い町で
ローズバッド居留地は、パインリッジ居留地の東にあり、この二つの居留地にまたがるようにバッドランドが広がっています。
いつも不思議なのですが、風景はどこも何もない平原なのに居留地ごとに雰囲気が変わっていくのが、運転しながらでもわかるのです。ローズバッドはとりわけ風が強く、ハンドルを取られながら運転して町に着いたら、強風で折れた小枝や洗濯ものが道路に散らばっていることもままあります。
ポール スザボの家は、そんなローズバッド居留地にあります。
一時期は、日本に住む幼さななじみに会うより頻繁にポールに会いに行っていました。
ポールは、ラコタのジュエラーとして早くから活動を始めた人で、先駆者の一人といえるでしょう。もう30年以上もジュエリーを作り続けています。シンテガレシカ大学(居留地にある大学)でアートの講師として活躍していた時期には、教室に連れて行ってもらいました。学生のまだ粗削りな工芸品を、嬉しそうに誇らしげに解説を加えながら見せてくれるのです。
ポールは、コツコツと、ひたすらに、作り続けました。
映画「ダンスウィズウルブス」が公開されラコタに多くの観光客が訪れた時も、アメリカで失業率が1番高い州といわれ荒んだ空気が流れ始めた時も、奢り高ぶることも、投げやりになることもなく黙々と作り続けました。だからスミソニアン美術館にポールの作品が飾られてるのを聴いても、アートショーで賞をとっても「ポールなら当然だな」と思いました。
ただジュエリーを作る事が大好きで、奥さんと家族が大好きで、風の強い町で多くを語らずひたすらに作る。ポールはすごいなぁ!ポールの工房の窓の景色のように変わらない日常に、ある日奥さんが「レストランの今日のオススメは魚料理なんですって!予約しといたわ!」と弾んだ声を上げる。ポールは奥さんの喜ぶ顔が大好きでいそいそと出かける用意をする。
二人はおめかししてポールの家から一時間近くのネブラスカとの州境いのレストランに出かけていくのでした。
いいなぁ。
この人の作るジュエリーがいつも確実で安心感があるのは、この風の町の変わらない日常に似て、時を経て肌に馴染むように感じられるからです。
そんなポールのジュエリーが届いたんですが、今日は一日バタバタ忙しく過ごしてしまいました。
明日には更新できそうです。
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