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額のマグネット

もうずいぶん前(昔といってもいい)だが、アメリカ人の友人がこんなことを言っていた。

「私の額には変な男を引き寄せるマグネットがついているんだわ!今まで寄ってきたのはサイコな奴ばかりよ。今回もそう。おかげでサンフランシスコからは引越ししなくちゃ」

聞けば、今度の彼氏も別れたとたん人が変わったように執拗になって、もう同じ空気を吸うのもいやだから違う州に越す、のだという。実際、話しだけ聴くと、アメリカ映画に出てくるような派手なケンカの後で、両者共に気が高ぶっているようだった。

私はといえば、当時はまだ店を始める以前で、アメリカといえば西海岸やら東海岸やらのよく知られたところにばかり旅行していた。「こんなにも感情爆発、喜怒哀楽のハゲシイ人たちなのか。アメリカ人って・・・。こりゃ日本人は何も言えんわ」と愕然としていた20代の私であった。

嬉しいことに今でも、彼女とはクリスマスカードの交換をしたりと縁が続いている。

このマグネットの話しはウィットに富んだおしゃべり上手の彼女の、身振り手振りまで思い出すほど気に入っている。

私の周りのラコタの顔ぶれを思い浮かべて、きっと私のマグネットが引き寄せられたんだと思うときがある。

前にも書いたように、サウスダコタの犯罪率は高く、失業者も多い。ラコタのリザベーションでも、「ペニーを持ってるか」と擦り寄ってくる人もいるし、これはちょっと怪しいなという雰囲気の人もいる。よく本で読むAIM寄りのインディアンの闘争的な行動も耳に入ったりする。

だが! 私がこの13年で知り合ったラコタの人たちは皆、楽しいやつら!だったのだ。楽しく哀しく愛すべき人たちだったのだ。

過激なことを言うでもなく、偉大な先祖たちの名前だけにすがるでもなく、苦しい境遇を嘆いてばかりでもない。もっと鷹揚にしなやかに生きているのだ。もう充分熱いものを内側に秘めていれば、声高に何かを叫んだりする必要などないのだ。

私のマグネットは、好んでこんな人たちに引かれていった。

だから、私の見ているのは、ラコタの一部、私の引かれていったラコタかもしれないとよく思う。他の誰かは、その人のマグネットが引き寄せるラコタを見ることだろう。

店に来てくださった方に「ラコタってどんなところ?」って尋ねられると、私は私の見たラコタを思い入れを込めて話す。

ラコタの全部じゃないけど、私の見た、ラコタだ。それを笑いながら楽しそうに聴いてくれたりすると、くどいくらいおんなじ事を話すお調子者の私である。

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